人間嫌いの小説家の嘘と本当

きょとんとした表情を浮かべ瞬きを繰り返す涼花。



「え、じゃぁ何で私裸だったの?」



困惑気味の彼女に、俺の悪い虫が騒ぐ。
このまま適当なことを言って、プンプン怒っている顔を見たい気もするけれど、俺とコイツとの初めての夜を記憶の無いものにしてしまうのは嫌だ。



「お前が勝手に、濡れて気持ち悪いとか言って脱ぎ始めたんだ」



正直に言ってみるものの疑いの目で見られてしまう。
今まで散々、本心を言わずはぐらかしていたツケだろうか。
俺は慌てて付け加えた。



「嘘は吐いてないからな。意識のない女を抱く趣味は、俺は持っていない」

「今回ばかりは、嘘だって言って欲しかった……穴があったら、入りたい」



本当の事だと悟ったのか、顔を真っ赤にして布団に頭を沈みこませた。



「今更だな」



そんな彼女の余りにも可愛い仕草に、思わず笑みが零れてしまう。
ククッと喉を鳴らし頭にキスを落とした。

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