人間嫌いの小説家の嘘と本当

「左のドアを入ったところにございます」

「ありがとうございます。あの……あなたは?」



部屋を出ていこうとする男性を呼び止める。
あの白髪の失礼な男といい、この人といい何者?
ここは一体どこなの?



「私は侑李様に仕える執事。櫻井と申します。御用があればお呼び下さい、では」



櫻井さんは丁寧にお辞儀をすると部屋を出て行った。

侑李様?誰の事だろう……執事がいる家なんて初めてだ。
彼って、もしかしてお坊ちゃまなの?
とにかく臭いも気になるし、早くお風呂に入ろう。

ベッドから起き上がり、そそくさと教えられた左のドアを開ける。

わぁ~。ここ本当に日本?
そう言いたくなるほど、バスルームは外国にいるみたいなインテリアで溢れていた。

トイレとバスルームは仕切られておらず、開放的。
白を基調としていて、バスタブの正面には大きな鏡が
中世を想わせる枠に填められている。
側面は、出窓があり光が溢れ明るいバスルームとなっていた。


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