人間嫌いの小説家の嘘と本当
「侑李、見てみて。この髪型も、服も似合ってる?」
彼の袖を引っ張って、引き止める。
折角、綺麗になったんだから見てもらいたいし感想を聞きたい。
「……当たり前だ。俺が選んだんだからな」
え……それ、どういう事?
意味が分からなくて首を傾げていると、先に店を出てしまった侑李に代わりに、語尾に音符が付きそうなくらい、嬉しそうにウィンク付きで美容師さんが答えてくれた。
「その服。さっきユウが持って来たものよ」
じゃ、さっき一旦店を出たのは、この服を買いに行ってくれていたってこと?
それに五時間も掛ったのに、ずっと待っていてくれてたり優しいのか冷たいのか、良く分からない人。
でも、私の為にしてくれてたって事だよね。嬉しいかも。
美容師さんにお礼を言って、彼の背中を追うように店を出た。
「侑李、ありがと」
タンタンと軽い足取りで、彼の隣に並ぶ。