人間嫌いの小説家の嘘と本当
アリス……ちゃん?彼女かな?それとも親戚?
どちらも違う気がして首を傾げる。
そんな私には構うことなく、分厚いA4サイズの封筒をテーブルの上にバサッと置いて、廊下に続く部屋とは反対のドアへ歩いていく。
「ちょっと、どこ行くの?」
「……寝る」
侑李は眉間にシワを寄せ面倒くさそうに溜息をついた後、短くそう答えた。
そう言えば、さっき徹夜したって言ってたっけ。
徹夜してまで何をしてたんだろう。
彼の仕事とか何も知らないんだよなぁ。
こんなのでボディーガードが務まるんだろうか。
不安に駆られ溜息がでる。
「寝込み襲うなよ」
ドアを占める寸前で、耳を疑うような言葉を放ち姿を消した。
「そんなこと、しません!!」
彼に聞こえたかどうかは分からないけれど、反射的にそう叫んでいた。