後ろの席はちびの速水くん

三年生がいなくなった今



校舎の人数は少なくなり



なんだか学校が寂しいようなシンとした感じだった。



そんな中



「はぁ、俺もう無理かも」



「え?」



「絶対振られるわ...」



そんな中...
速水くんは彼女さんの事で実は沢山悩んでいた。



「俺なにもしてないのに」



「大丈夫だよ!」



「昨日さ、彼女が浮気してた夢みた」



「ええっ、」



速水くんはすごくすごくかっこいいのに。



こんなにも彼女さんの事で悩むんだなと思った。



今速水くんと付き合っている彼女さんは



一昨日この学校を卒業した先輩だった。



その先輩は速水くんのことを前から好きだったみたいで



それで去年のクリスマスの日にふたりは付き合ったんだと。



彼女さんと毎日LINEして寝る前には毎日電話して。



そんな日々を送っていたのに最近は、彼女さんがおかしくなって



LINEも3日に1回とか



そんな日がずっと続いていたらしい。



あたしのこと沢山励ましてくれてたのに、



本当は自分もずっと悩んでたんだなって知った。



前はあたしの話も沢山聞いてくれたから



今度はあたしが速水くんの力になりたいと思った。



彼女さんの気持ちをどうこう操ることは無理だけども、



速水くんを慰めてあげることは出来る。



次はあたしが支える番なんだ。



「別れたくないな...」



「うん...」



速水くんは一途なんだって知った。



あたしはその先輩に直接関わったことはないけど、



顔は見たことある。



それにその先輩は結構飽きやすいタイプらしくて。



その事も知っている。



あたしはそれを聞いて信じられないなって本気で思った。



なんでこんなにも一途な人を泣かせるようなことするのって。



あたしだったら絶対泣かせたりしないのにって。




本気でそう思った。




「大丈夫だよ、まだ決まったわけじゃないもん。とりあえず彼女さんから連絡来るの待とう!」



「そうだな」



だけど速水くんはもう、答えが分かってるのかもしれない。



▷▶︎



なんだか自分と重ねてしまうんだ。



自分も告白されて、振られたようなもんだから。



だから速水くんの気持ち、



今のあたしが1番理解できると思うの。



駿くんと別れて、同じクラスだけども



やっぱりお互い気まづくて。



もう前のようには行かないんだ。

< 10 / 22 >

この作品をシェア

pagetop