後ろの席はちびの速水くん
今日も1日が終わる。
「LINEするね」
「うん!部活頑張ってね!」
あたしは速水くんにそう言って教室を出た。
今日はなんとなく
早くお家に帰りたかったから部活を休んだ。
お家に帰ろうと思って靴を履いたら目の前に司くんがいた。
「司くん?」
「お!奈々!」
「今から帰り?」
「そうそう!奈々は今から部活?」
「あ...あたし今日は行かないんだ」
「そっか!あ、なら途中まで一緒帰らね?」
「え...でも...」
「家まで送るよ」
「うん...ありがと...」
司くんは誰に対してもすごく優しくて。
1年生の時も同じクラスだったけど全く関わらなかったから
こんな人なんて思ってもなかったな。
司くんは自転車のかごの中にあたしの鞄を入れてくれた。
「でもまさか司くんと一緒に帰るなんてね」
「俺じゃ嫌だった?」
「ううん!そんなんじゃないよ!」
「良かった」
「うん。速水くん、可哀想だよね...」
「あぁ、あれはもう女が悪い」
「あんなに一途なのにね。あたし許せないよ」
「そっか。奈々もそんなんだったもんな」
「ほんっとそれ。自分から告白しといてありえないっての。男なんて最初だけだよ、もう信じられない」
「そうだよね。俺も北見はよく分かんないわ」
「駿くん?」
「うん、」
「あのマネージャーと付き合えばいいのに」
「サッカー部の?」
「そうだよ、あたしと距離おいた時本当すごかったんだから。今でも噂みたいなのあるし」
「距離おいた時っていつの話?」
「あれは、2年の夏だったかな」
「そっか」
「うん、距離置いてる時期にマネージャーとふたりでバス停まで行ったとか、アイスとかヨーグルト買ってあげてたとかさ!」
「は、それはやばいね。それで奈々は許したの?」
「許したって...なんだろ。そのこと聞いてね、やっぱりあたし好きなんだなって自分の気持ちに気づいたから」
「そっか...その、聞いたってのは誰から聞いたの」
「原田くんだよ」
「あいつか」
原田くんは同じサッカー部の人。
その人は駿くんと仲が良くて、
あたしがその期間、ずっと相談していた人。
「でもまぁ、もう終わった事だからどうでもいいんだけどね」
「そっか」
「だけどあたし、ぜーったい駿くんの彼女になるのはおすすめしないね。最初だけだよ」
「はは、そっか」
「そうだそうだ」
司くんは最後まであたしの話を聞いてくれました。
「じゃあまた明日ね。送ってくれてありがとう」
「おう、またね」
そう言って司くんとばいばいした。