後ろの席はちびの速水くん
月日は戻り3週間前の事の過去。
『見事振られました』
速水くんからLINEが来た。
彼女さんとのトークも見せてもらった。
内容は
もう速水くんの事を好きじゃないんだと。
専門学校に行って本気で頑張りたいんだと。
これだけだった。
速水くんは泣いたんだ。きっと。
あたしには大丈夫って言って
本当は泣いたんだよね。
「辛かったね...。だけど速水くんはなんにも悪くないんだから」
「ありがとう。そう言ってくれて」
速水くんも同じで、もう女の人を信じれなくなったのかもしれない。
「ねぇ、海に行かない?」
「海?」
「あたし今叫びたいもん!」
「お、いいね」
「え?本当に!?」
昨日の夜別れたばかりなのに、
そんな気分じゃないと思ったのに。
速水くんはおっけいしてくれた。
だから来週、ふたりで海に行くことになった。
そんな約束をした日の夜だった。
司くんから
『電話してもいい?』
とLINEが来た。
電話なんて、普通男の人と出来ないあたしだけど
司くんだし、友達だから
あたしはすんなりおっけいした。
「司くん?」
「奈々、さ」
「へ?」
「いや...奈々が泣いてたりしたらさそばにいてあげたいって言うか...」
「...」
何も言えなかった。
「俺、奈々のことが好き」
「え...」
「考えてほしい」
え、ちょっと待って...。
「だめかな」
司くんは優しいし、
今まで沢山の相談に乗ってくれた。
嬉しいはずなのに...なんでかな。
『なんでって、別にばらしても良かったけど?』
『泣くなって。強くなれねーよ?』
『夢に向かって頑張れよ』
あたしは...
「あたし...まだそういうの考えられない...」
だって...まだ...。
「なら好きなままでいていいかな」
「...うん...」
あたしはやっぱり駿くんの事が
忘れられなくて...。