シークレットポイズン
「甘いものが嫌いなのにケーキバイキング行きたいとか、あれはほんとに騙された。」
「騙されたとか!失礼ですよ。しかも騙してないですし。」
「甘いもの苦手って知ってたら、誘わなかったのに。」
「でしょ?だから嫌だったんですよ。それにあの時はみなさんが誘ってくれたのが嬉しかったんで。食べれないとかそういうのは、結構どうでもいいんですよ。」
「やっぱりよくわからない。」
彼は本当によくわからない人なのだ。読ませる気がない人でもある。人懐っこくて、人当たりがよくて、馴染みやすそうに見せかけて実はそうじゃない。藤澤は誰にでも心を開いているように見せかけて、実は誰にも心を開いていないように見えるのだ。少なくとも美樹には。
「でもチョコに罪はない。いただきます。」
「何個でもどうぞ。」
小さく笑う顔はやっぱり幼い。童顔だから、今でも年齢確認されてしまうらしい。そりゃそうだろうと美樹は心の中で盛大に頷いた。
「ありがとう。やけに美味しく感じるから、多分絶対疲れてる。」
「でしょうね。早く帰ってください。僕を置いて。」
「最後のトゲあるな。」
「ありませんよ。」
のらりくらりとかわされる会話が嫌いではない。深山と話すのは安心して、藤澤と話すのは時々ちょっと難しい。年の近い2人だからこそ、時々こうして思考の中で比較してしまう。
「先生、すみません。今日ちょっと頭痛くて。お先に失礼します。もし印刷するものとかあれば机の上に置いておいてもらえれば朝印刷しておきますので。」
「大丈夫だよ、そんなの。美樹ちゃん、お大事に。食べ物ちゃんとある?何か届けよっか?」
「いえいえそんなお手を煩わせるわけには…!大丈夫ですよ。そこまで重症じゃないです。」
学年主任の坂上とは実は家が近く、料理上手な坂上に夕飯をわけてもらうこともしばしばある。
美樹はもう一度頭をさすり、自転車にまたがった。美樹の家から職場までは自転車で10分。この季節はたった10分でも汗だくだ。
「お疲れ様でした、お先に失礼します。」
「お疲れ様でしたー!」
「騙されたとか!失礼ですよ。しかも騙してないですし。」
「甘いもの苦手って知ってたら、誘わなかったのに。」
「でしょ?だから嫌だったんですよ。それにあの時はみなさんが誘ってくれたのが嬉しかったんで。食べれないとかそういうのは、結構どうでもいいんですよ。」
「やっぱりよくわからない。」
彼は本当によくわからない人なのだ。読ませる気がない人でもある。人懐っこくて、人当たりがよくて、馴染みやすそうに見せかけて実はそうじゃない。藤澤は誰にでも心を開いているように見せかけて、実は誰にも心を開いていないように見えるのだ。少なくとも美樹には。
「でもチョコに罪はない。いただきます。」
「何個でもどうぞ。」
小さく笑う顔はやっぱり幼い。童顔だから、今でも年齢確認されてしまうらしい。そりゃそうだろうと美樹は心の中で盛大に頷いた。
「ありがとう。やけに美味しく感じるから、多分絶対疲れてる。」
「でしょうね。早く帰ってください。僕を置いて。」
「最後のトゲあるな。」
「ありませんよ。」
のらりくらりとかわされる会話が嫌いではない。深山と話すのは安心して、藤澤と話すのは時々ちょっと難しい。年の近い2人だからこそ、時々こうして思考の中で比較してしまう。
「先生、すみません。今日ちょっと頭痛くて。お先に失礼します。もし印刷するものとかあれば机の上に置いておいてもらえれば朝印刷しておきますので。」
「大丈夫だよ、そんなの。美樹ちゃん、お大事に。食べ物ちゃんとある?何か届けよっか?」
「いえいえそんなお手を煩わせるわけには…!大丈夫ですよ。そこまで重症じゃないです。」
学年主任の坂上とは実は家が近く、料理上手な坂上に夕飯をわけてもらうこともしばしばある。
美樹はもう一度頭をさすり、自転車にまたがった。美樹の家から職場までは自転車で10分。この季節はたった10分でも汗だくだ。
「お疲れ様でした、お先に失礼します。」
「お疲れ様でしたー!」