シークレットポイズン
「ところで藤澤さん。」
「はい。」
これは、もしかしたら溝を埋めるチャンスかもしれない。そんなことを思ってちょっとした勇気を出してみることにする。
「来週の土曜日、深山さん主催でケーキバイキングに行こうってことになってるの。良ければどう?」
主催でもないのに誘うのもどうかとは思うけれど、深山がそんな些細なことを気にするタイプではないことも知っている。
藤澤は少し考えてから、口を開いた。
「…友達が石川から来るかもしれないんですよね。」
「え、そうなの?じゃあそっちが優先だね。」
「いやでも、せっかく誘っていただいたわけですし…。その日、僕、誕生日なんで、一人暮らし始めたばっかりだし、祝ってくれる人誰もいないからって来てくれるみたいで。」
「…誕生日?」
そんな日にケーキバイキングなんて行ってる場合じゃない。ましてや、職場の人と過ごしている場合でもない。何の気なしに誘ったはいいが、そんな大事な日だったとは。
「ごめん!そんな日に我々と過ごすなんてダメだね、普通に考えて。」
「何でですか?僕、先輩方とケーキバイキング行きたいですよ。ちょっと友達に聞いてみます。向こうも遠くからなんで無理してきてくれるんだと思うので。」
「え、いいの?地元の友達と会った方が良くない?ほら、私達だと気を遣うところもあるでしょ?」
ただでさえ、気を遣われがちな自分がいるのだ。最年少の藤澤は必然的に気を遣う場面が増えてしまう。
「そこは大丈夫ですよ。友達に聞いてから返事をしてもいいですか?」
「うん、もちろん。」
「連絡先聞いてもいいですか?」
「あ、そうだね。LINEで大丈夫?」
「はい。」
美樹はカバンをあさってスマートフォンを取り出した。その一方で藤澤はポケットからすっとスマートフォンを取り出す。
「ごめん、私LINEあんまり詳しくなくて。どうすればいい?」
「ここ押してもらっていいですか?」
「うん。」
「僕、読み取るんで。QRコード出してもらって…。」
「へー!こんなことできるんだ!知らなかった。」
「結構便利ですよね。」
「うん!今度から使う!」
「是非。」
そう言って、少しだけ微笑んだ藤澤の顔はやっぱりどこか幼くて、年下なんだということを改めて感じた。
「はい。」
これは、もしかしたら溝を埋めるチャンスかもしれない。そんなことを思ってちょっとした勇気を出してみることにする。
「来週の土曜日、深山さん主催でケーキバイキングに行こうってことになってるの。良ければどう?」
主催でもないのに誘うのもどうかとは思うけれど、深山がそんな些細なことを気にするタイプではないことも知っている。
藤澤は少し考えてから、口を開いた。
「…友達が石川から来るかもしれないんですよね。」
「え、そうなの?じゃあそっちが優先だね。」
「いやでも、せっかく誘っていただいたわけですし…。その日、僕、誕生日なんで、一人暮らし始めたばっかりだし、祝ってくれる人誰もいないからって来てくれるみたいで。」
「…誕生日?」
そんな日にケーキバイキングなんて行ってる場合じゃない。ましてや、職場の人と過ごしている場合でもない。何の気なしに誘ったはいいが、そんな大事な日だったとは。
「ごめん!そんな日に我々と過ごすなんてダメだね、普通に考えて。」
「何でですか?僕、先輩方とケーキバイキング行きたいですよ。ちょっと友達に聞いてみます。向こうも遠くからなんで無理してきてくれるんだと思うので。」
「え、いいの?地元の友達と会った方が良くない?ほら、私達だと気を遣うところもあるでしょ?」
ただでさえ、気を遣われがちな自分がいるのだ。最年少の藤澤は必然的に気を遣う場面が増えてしまう。
「そこは大丈夫ですよ。友達に聞いてから返事をしてもいいですか?」
「うん、もちろん。」
「連絡先聞いてもいいですか?」
「あ、そうだね。LINEで大丈夫?」
「はい。」
美樹はカバンをあさってスマートフォンを取り出した。その一方で藤澤はポケットからすっとスマートフォンを取り出す。
「ごめん、私LINEあんまり詳しくなくて。どうすればいい?」
「ここ押してもらっていいですか?」
「うん。」
「僕、読み取るんで。QRコード出してもらって…。」
「へー!こんなことできるんだ!知らなかった。」
「結構便利ですよね。」
「うん!今度から使う!」
「是非。」
そう言って、少しだけ微笑んだ藤澤の顔はやっぱりどこか幼くて、年下なんだということを改めて感じた。