mariage
「君に全て任せる」
「…」

困惑の目を秀吾に見せると、秀吾はサッと目を逸らし、シャンパンを飲んだ。

…食事中は、ただただ無言で食べるだけ。

この人は一体何を考えてるのか。

食事が終わり、食後のコーヒーと紅茶を飲んでいる時、最大の疑問をぶつける事にした。

「…鮫島さん」
「…なんだ」

「…私でいいんですか?」
「…」

「好きでもない私と、結婚なんてできるんですか?」
「…守るためなら、何でもする」

…守るためなら。

それは、自分の会社の事?

「…自分の会社は大事ですよね」
「…当たり前だ」

「…」

そうか。やっぱりそうなんだ。

秀吾は、自分の会社の為に、私と結婚を決めた。

私の事なんて、道具の一つみたいな物か。

そう思うと、胸が押しつぶされそうに苦しくなった。

…そうなに苦しい思いをするのに、それでも好きなんて、どうすればいいんだろう?
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