mariage
…そんな期待を胸に秘め、後日、再び、食事をしたレストランがあったホテルのロビーに来ていた。

…今日は、1人で式場や、衣装の打ち合わせに来ていた。

前もって渡されていたパンフレットを元に、いいなと思ったものをチョイスし、出してもらったりしていた。

「…その指輪」
「…え?」

秀吾がくれた婚約指輪に反応したのは、私達の結婚式の担当者。

「その指輪、ピッタリだったんですね」
「…はい、なんで、この指輪のこと?」

小首を傾げて問いかければ、担当者は優しく微笑んだ。

「ここは、宝石店と直に取引ができるので、鮫島様と一緒に見たんです。とても熱心に決めておられたので、本当に三条様のことを思ってらっしゃるのだなと、嬉しくなってしまって」

「そう、なんですか」

「えぇ。鮫島様は口数少ないようですが、ぁ、すみません。でも、本当に三条様のことを愛してらっしゃるのだなと心底思いまして」


…そんな事あるわけないのに。

私はなんとか笑顔を貼り付けて対応するのが精一杯だった。
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