mariage
「何しに来たんですか?私の事なんて、放っておいて下さい!」

私の言葉に、秀吾は溜息をついた。

「あれだけ大きな声で、静かなラウンジで叫んでいたら、誰でも目に止まる。」

「…ゔ」

「これから、何かと俺の横を歩く事も多くなるだろう?自分の言動に気をつけろ」

…自分だって、私と結婚式をあげるホテルで、綺麗な女を連れ込んでたくせに。

「…放っておいて下さい!鮫島さんだって、綺麗な女性連れだったじゃないですか?自分の事棚に上げて、私に指図しないで」

ビクッ…

また、あの時と同じ、苛立った顔。

その顔で、私を見下ろし、私の顎を掴むと、自分の方に向けさせた。

…私が萎縮するのを知ってて、この顔をするんだ、この人は。

「…嫉妬か?」
「なっ⁈///違っ!」

「…琴乃は、あの女に自分が劣るとでも?」

…劣ると思う。…雲泥の差だ。

私は何も言えず黙り込んだ。
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