mariage
…本当に連れてこられてしまった。

…私は、秀吾と、結婚するんだ。そういう関係になるのも、時間の問題だとはわかっている。

でも、まだ、心の準備というモノが、全く出来ていない。

車から降りたら、逃げようかな。

そんな事を考えた瞬間、そんな事は絶対させないと言わんばかりに、秀吾に手を掴まれてしまった。

「…いい大人が、緊張してるのか?」
「…ま、まさか」

「…手汗が凄いが」
「…元々です」

そんな訳ないのに、そんな事を言う。ここは素直に今の気持を口にすれば、今回は見逃してくれるかもしれないのに。

…部屋の中に通された私は、リビングにあるソファーに座るよう促され、広いソファーの端に、チョコンと腰掛けた。

…落ち着かない。落ち着けるはずがない。

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