mariage
仕方ないじゃない。

だって、私は彼が秀吾が好き。

まともに会話を交わした事なんてない。

いつもこうやって、頭を下げるだけ。

でも、私は秀吾の立ち居振る舞いがしなやかで誰も寄せ付けないそんなオーラに、惹かれていた。

どんなに想っても、私の想いなんて、絶対秀吾に届くはずもない。

私の気持ちも、微塵も知らないだろう。

それでもいい。

心の中で想う位なら、秀吾に迷惑をかける事もないのだから。

秀吾を想ってるだけで、幸せな気持ちになれる。

…。

一日の業務を終えた私は、身の回りを整理して、社長室に挨拶へ。

「社長、今日の業務は終わりましたが、まだ私がお手伝いする事はありますか?」

私の言葉に首を振ったが、社長は私にソファーに座るように促した。

「琴乃、話がある、座りなさい」

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