mariage
「私は今の仕事が好きです。私から、好きな物を奪って行かないでください」

切実な顔で訴える。

いくら何でも、急過ぎる。秘書になってまだ日は浅い。だが、忙しくも、この仕事が好きだ。

結婚するからって、何もかも言いなりになるのは嫌だ。

「…却下する」
「秀吾さん」

「琴乃は俺のモノだ。俺の言葉は絶対だ。…どうしても仕事がしたいというなら、俺の秘書をしろ。それ以外の仕事は認めない」

「…私は、秀吾さんのオモチャじゃない」

「…」

私の言葉に、秀吾はなんだか、傷ついた顔をした。…なぜ?

オモチャのように扱われる私の方が傷ついてるのに。

「…琴乃はオモチャじゃない。そんな事思ったことはない。…だが、これだけは譲れない」

「…どうしてですか?」

「それは!…」
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