mariage
私は秀吾が好きだ。傍に居たい。

でも、愛されないなら、苦しいだけ。

「…会社なんてどうでもいい」
「…ぇ?」

今、なんて言った?会社なんてどうでもいい?秀吾は自分の会社の為に、私と結婚するんでしょう?

「…三条社長は俺の条件をのんだ。俺も又、三条社長の条件をのんだ。それで契約は成立してる。だから、琴乃、お前に拒否権はない。これを…」

そう言って差し出したのは、『婚姻届』

夫の欄と、保証人の欄には、もう署名がしっかりされていた。

後は、妻の欄に私が書けば、直ぐにでも提出出来る。

「…嫌です。…書きません。鮫島さんは、私なんて、愛してない。愛のない結婚なんて絶対しない」

そう言って、秀吾から顔を背けた。

「…琴乃はどうなんだ?俺に愛が無いなら、琴乃にも愛はないか?」

「それは…」
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