mariage
好き、ううん、愛してる。抱き締められて、キスされて、幸せだと感じる。

でも、その言葉を言うのが怖い。

拒絶される事が何より怖い。

「…お前に愛が無くても、結婚は出来る。結婚は、愛がすべてじゃない。予定通り話しは進める。今更止められない」

「…ゃ!鮫島さ…」

突然掴んでいた手を引っ張り寄せると、嫌がる私にキスをする。

どんなに抵抗しても、秀吾に敵うはずも無く。

「…どう、して…こんな」

…涙が止まらなかった。

予定された結婚式は、ジューンブライド。

6月の花嫁は幸せになれるというけれど、この結婚は、幸せなど訪れない。

泣き止まない私を、秀吾は泣き止むまで抱きしめていた。

…なんで、抱きしめるの?

愛してもいないのに。優しくしないで。

冷たくしてくれれば、嫌いになれるのに。
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