mariage
担当者の言葉に、驚く。

「何度か、奥様の体の寸法を測らせて頂きました。それは、このオーダーのウエディングドレスを作る為です」

「…秀吾さんが?」

私の言葉に、担当者は微笑み頷いた。

「奥様に似合うものをと、何度も何度も話し合いを重ね、やっと今日出来上がって来たものです」

私の事など、愛していないのに?

どうしてここまでするの?

私は涙か止まらなかった。

「きっとお似合いになりますよ。世界で一番幸せな花嫁になりましょう。そのお手伝いをさせてください」

『世界で一番幸せな花嫁』

その言葉から掛け離れた結婚式。

担当者の言う通り、私は幸せになれるんだろうか?そんな訳ない。

…沢山の人に祝福された結婚式は、無事に終わった。

…終わったばかりだというのに、もう、秀吾の隣には、あの時の美女が並んで立っていた。

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