mariage
「…今のはどういう意味だ?」

「…」

…分かっていて聞いているのか?それとも、分からず聞いているのか?

私は視線を逸らしたまま黙り込む。

「…琴乃、答えろ」
「…嫌です」

グイッと、逸らした顔を自分の方に向けた秀吾。

その表情を見て、私は困惑した。

どこか不安げで、瞳が揺れている。

「…琴乃、お前は俺の事をどう思ってる?」

「…私は」

…なるようにしかならない。

そう思えば、自分の気持ちを伝える事が出来る。

私は小さく呼吸を整えると、秀吾を真っ直ぐに見つめた。


「…私は、秀吾さんの事が好きでした。初めて会ったその日から」


…一瞬、秀吾の表情が動いた。

拒絶される。そう思い、私はギュッと目を閉じた。
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