mariage
半分くらい終わった所で、大路が帰ってきた。

私を見て、一瞬目を見開き、でも、何を言うでもなく、私の側まで来ると、出来上がったファイルに目を通していく。

その眼差しが怖くて、ドギマギする。

「…これ、琴乃さんが?」
「…すみません、勝手な事して。でも、あまりにグチャグチャだったので、整理だけでもと思いまして」

「…」

怖いです…その顔。

「…とても見やすい」
「…へ?」

大路の言葉に、キョトンとする。

「…何日かかっても構わないので、書類の整理、お願いします」

「あ、はい」

…書類の整理、悪くはなかったようだ。その事に安堵しつつ、再び大路を見ると、頷きながら、ファイルに目を通している。

その目は、なんだか、嬉しそうに見えたのは、私だけだろうか。

それが、私もなんだか嬉しくて、整理を続けた。
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