mariage
4.愛はどこにある?
「…さぁ、これを飲んで落ち着いてください」

高層マンションの一室。

私を拾ってくれた人が、ホットコーヒーを差し出した。

「…」

でも、私はそれを受け取る事すらままならない状態で、見かねて、私の両手に握らせた。

「…ほら、飲んで」

優しい声に促され、私はようやくそれを飲んだ。

「…あったかい」

ボソッと呟く私の声を聞いて、安堵したように微笑んだ。

「…もう、こんな時間なのに、家に帰らなくていいんですか?」

その言葉に、ハッとした私は、ブンブンと首を振る。

「…鮫島秀吾と何かありましたか?」
「…」

返事をする事なく、私が俯くと、彼は溜息をついた。

「…あったんですね」
「…千堂専務…お願いだから、これ以上は何も聞かないでください」

…そう、拾ってくれたのは、千堂千影。
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