mariage

必死な顔で訴えると、社長はアッと声を上げた。

「…そうだ。鮫島君から伝言だ。明日の午後7時に、その式場のレストランで食事をしようと言ってたぞ。不安に思う事があるなら、なんでも聞いて来なさい」

「…あ、社長」

私が言葉を発する前に、社長室に入って行ってしまった。

社長は、…父は昔からいつもこうだった。早くに母が病気で亡くなり、父は、再婚する事もなく、男手一つで育ててくれたのたが、自分がこうだと思えば、私の意見なんて、聞く耳を持った事はなかった。

男たった一人で、私を育ててくれた父。

迷惑をかけたくなくて、反論などした事はなかった。

進路などは、自分で決めさせてくれたから、これと言って、反論する必要がなかった事もある。

…でも、今回も反論せずに、このまま話を進めていいのだろうか？