mariage
「それは…」

言い訳をしようとした秀吾だったが、ハッとして、咄嗟に口を噤んだ。

「…夫婦じゃないなら、これ以上一緒にいる必要はないじゃないですか?私はもうあのマンションに帰るつもりはありません」

「そんな事許さない。琴乃は、俺の妻だ」

「いい加減に「それ以上、社長をいじめないでください」

「…大路」「大路さん」

突然開いたドアから、大路の声が、私達の喧嘩を仲裁しに入った。

「…社長は、琴乃さんを愛している。どんな話を聞いたのか知りませんが、今は静かに、待っていただけませんか?社長を信じて」

説得力のある大路の言葉に、困った顔をした。


「…夫婦じゃないのに?」
「…あなた方は、私から見たら、どこをどう見ても夫婦ですよ。今だって、夫婦ゲンカしてましたしね」

そう言って、とびきりの笑顔を見せたもんだから、私は思わず目を丸めた。
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