mariage
勝ち誇ったような顔でそう言ってのけた玲子。

私は、大路が言った言葉を信じたいと思う。でも、玲子と話をしていた秀吾が、何も否定しなかった事の方が本当なのではと思ってしまう。

現に、今目の前の玲子が籍を入れていない事を断言してしまった。

…我慢していた涙が零れ落ちた。

「…秀吾はずっと、私の物なのよ。だから諦めて頂戴」

そう言って、また鼻で笑った玲子は、秘書室を出て行った。

…私はその場に泣き崩れた。

もう、何もかも諦めなければ。

誰の言葉も、今は耳に入りそうにない。

…ひとしきり泣いた私は、立ち上がった。

もう、ここにいちゃいけない。

秀吾が帰って来る前に、秘書室を出よう。

…。

「…琴乃…どうした?」
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