mariage
その疑問は解決しないまま、約束の日、約束の時間30分前になってしまった。

遅刻するのはマズイと思い、15分前に、レストランに来てしまった。

「…早過ぎたかな…あの、ここで待ち合わせをしている者なのですが」

「予約はされていますか?」
「…どうだろう…三条か、鮫島か…」

してるかどうかもわからなかったが、取り敢えず、名前を出してみた。

「鮫島様ですね。承っております。お連れ様ですね。こちらへどうぞ」

ウエイターに連れられ、景色のいい窓際の席に案内された。

「お飲み物はいかがなさいますか?」
「…あ、まだいいです」

「かしこまりました。鮫島様がお越しになられたら、再度お聞きします。ごゆっくり」

そう言うと、席を離れて行った。私は思わず溜息をつく。

こう言う小洒落たレストランは性に合わない。

仕事ならともかく、プライベートでは、こう言うところに来た事がない。

令嬢といえども、ずっと料理は自分でしてきた。父のご飯も全て。
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