mariage

「…何？」

いつもと違う口調になった千影。俺はそのまま話を続ける。

「琴乃のお父さんから連絡が来たよ」
「…お父さん？」

少し驚いたように、琴乃が言う。

「…千堂、お前のしてきた数々の悪行が全て明るみに出た。お前の会社の重役たちには、全て通達し、鮫島が、お前の会社を買収させてもらう」

「…何を勝手な事を。社長が頷く訳がない」

顔色を変え、そう言う千影。

「…社長も手に負えないほどの事をやったらしいな。その尻拭いは、うちがさせてもらうと言ったら、二つ返事で、承諾したそうだ」

千影は眉間にしわを寄せ、俺を睨んだ。

「警察も動いてたからな。お前のところに来るのも時間の問題だ。お前はもう終わりだ。…ついでに。琴乃と籍を入れていないってのは、デマだ」

「なっ⁈」

「玲子が琴乃に危害を加えられたらたまらないから、嘘をついた。俺と琴乃は、れっきとした、誰もが認めた夫婦だ」