Oh my _____!!
ーー下らないと言いつつも、悪い結果はどうも頭に残ってしまうものである。
あの後比奈は結局、ラッキーカラーである淡いブルーのコンパクトカーディガンを羽織って大学へと向かった。
比奈が素直に占いの忠告を受け入れたのには理由がある。比奈は最初、カーディガンを羽織らずに家を出ようとしていたのだ。
今日から新学期の始まりだと意気込んで、比奈は玄関を出た。ちょうどその時隣室の住人も出掛けるようで、比奈と鉢合わせたのだが、そこで比奈は、朝の占いを信じることとなってしまう。
このマンションに住み始めて早一年、隣室の住人とエンカウントしたことはこれが初めてだった。比奈が越してきた時は隣は空室であったし、その空室が埋まった後も引越しの挨拶などは無く、関わりを持ったことは無かった。比奈はここで、隣室の住人が同い年くらいの青年だということも初めて知った。
黒髪の、高い鼻筋の美形。比奈は慌てて会釈をしたが、黒髪の彼はフンと細く鼻を鳴らして、さっさとエレベーターホールの方へ行ってしまった。
比奈は暫くぽかんとその場に立ち尽くしていた。初対面の人間にあのような胸糞の悪い態度を取られるとはこれっぽっちも思っていなかったのだ。
ーー…ラッキーカラーは淡いブルー。身に付けることで幸せな出会いが待っているかも…ーー
「…占いなんて所詮気休めなんて思ってごめんなさい…」
比奈はひとりでに呟いて、ラッキーカラーのカーディガンを取りに、大急ぎで部屋へと戻っていった。