そして、彼は彼らを振り回す。
〜玲央side〜

ガラガラ―。


「ツムギさん…」


一人部屋の病室の扉を開けるとベッドに美しく眠る女の手を握り、無表情に座っているツムギの姿があった。


気づいていないのか、反応しないだけなのか、こちらを見る様子は一切ない。


明らかに窶れているツムギを見ると、どれ程この人が大切か、一目見てわかる。


この人、雅楽川 楓さんが何者かに襲われてから一週間。


雅楽川さんが目を覚ますことは一度もなかったらしい。





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