悪いキス
わたしはすぐに否定した
「もう優しくなんかしたりしないで」
「は?何、急にへんなこと言いだしてんだ」
家の門扉まで辿り着くと、わたしは言い切った
「わたしはたい君の理想にはなれないよ」
必死の涙をこらえて唇から出た冷たさ
「何を兄貴から吹き込まれたかしんないけど、俺の気持ちだって考えてみろよ」
「考えてるよ!…考えてる、どうしてそこまで優しくしてくれるのかよぉく分かったの。だからもうわたしに構わないで」
「何言いだすんだ、忘れたのか?俺の言葉を」
「そんなの卑怯だよ。明日からの合宿、ちょうど別の班になってよかった。じゃあね」