悪いキス
バスの席でも余頃が隣に座って来た
バスの車窓からは深緑が目に映る
緑色といってもこんなに多彩な色があるんだな、と半ば感心していたら余頃(よころ)が話かけてきた
「この合宿もつまんないだろうって思ってたけど、違ったみたい。…だって琴美ちゃんっていう可愛い娘と一緒になれたんだから」
「へ?」
最後の一言は耳でそっと囁かれた
しかもバスに揺られて軽く耳たぶに唇があたった感触があった
だからわたしは拍子抜けした声が出たのだ