悪いキス
どうやらここは図工室のようだ
壁一面に画用紙に描いた絵が飾られてある
奥には資料の本棚も設けられてあった
一番、死角になる席を選んで座った
数学のプリントを広げて最初は余頃の解説を聞きながら空欄を埋めていく
「琴美ちゃん、勉強疲れで肩こってない?」
「え?…肩?そうだね、こってるかも」
わたしは肩を叩きながら尚もプリントを写すのに必死だ
「マッサージしてあげるよ」
そう耳もとで囁かれてはっとした
バスのなかでも囁かれたのを思い出す
低くて柔らかくて触れていないのに触られた感じがする
色っぽくて胸が高ぶるようなそんな声