悪いキス


声の方を振り向くと、そこには桑原ユイと船橋ゆりえが立っていた

「今すぐ尚文から離れてよ」

「わたしたち後ろの資料の棚のところでゴッホの画集を探して観ていたの、そしたらふたりが入って来て出るに出れなくなっちゃったわけ」

「ちょっといつまでひっついてるの?」

「え?桑原さんって余頃くんと付き合ってたの?」

わたしは急いで余頃の元から離れた

「そうよ、わたしが余頃尚文の彼女」

「おいおい…」

「尚文も尚文よ、こんな陰湿な娘の前で鼻伸ばすなんて」

「植村さん、あなた誤解してるみたいだけど、りん先輩が言ったこと鵜呑みにしちゃダメよ。あれは嘘なの。事実はこのふたり。つまり、余頃がユイを妊娠させたのであって桑原くんは違うわ」


< 125 / 415 >

この作品をシェア

pagetop