悪いキス

「太田、どういうつもりだ?」

ジャージを着たわたしを引き寄せて、大航は視線を太田に向けた

「ひとの女に手を出すってよく噂にきいてたけど、桑原くんの彼女にも手を出すなんてよくやるわね」

「…ちがっ、何言って。俺は仕方なく植村を」

「はい、もう分かったよー。分岐点のところで明石(めいし)が立ってただろ。矢印、反対指してたぞ」

「そ、そうです、矢印が反対だったからそれで迷って…」

「太田、明石(めいし)とよくつるんでるよな?あいつ言ってた、太田に頼まれて矢印反対にしたって」

「あの野郎~!!」

太田は悔しそうに唇をかんだ

「どうやら、植村が正直に言ってるみたいだな」

先生はそう判断した

太田は悔しそうに舌打ちをした


< 165 / 415 >

この作品をシェア

pagetop