悪いキス

合宿も終盤を迎える

午後8時

辺りは闇のなか

山も森も夜に包まれて真っ暗になった

もちろん街灯はない

あるのは赤く燃える焚き火だけ

火を囲むようにみんな輪になってタイマツを手にしている

すると教頭先生がいきなり、生徒代表として歌を披露するようにわたしを紹介したのだった

「え!?聞いてませんけど」

「琴美、がんばれ!」

大航が声をかけたのをかわきりにみんながわたしをおだてて前に出るよう勧めた

わたしもこうなったら仕方ないと、どうなっても分からないとヤケクソになって国歌の君が代と自作のめちゃくちゃな歌を歌った


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