悪いキス
そう叫びながら走り寄って来たのは揺木谷まい子だった
「もう、待ってって言ったのに。…あら、りん先輩と琴美ちゃん?」
興味津々な目で三人の顔を見比べている
「夏休み、稚内の別荘に行こうって琴美ちゃんを誘ってたんだ、…そうだ、まい子ちゃんだっけ?一緒に行く?」
「……え?りん先輩と琴美ちゃんの仲、邪魔しちゃわないかな?大航くんも行くの?」
親しげに大航の腕を掴んで答えた
「……あ?あぁ、行くよ」
そんな大航はまい子の仕草にびっくりしていた
大航の彼女はわたしのはずなのに…。
大航に近寄ろうとしたわたしの手を掴んで、自分の元へ引き寄せると一倫は伝えた
「じゃ、決まりだね。あ、妹のユイは所用で、義理兄(あにき)は仕事で忙しいから行かないみたい」
「四人だけ?ダブルデートみたいでいいね?」
まい子は上目遣いで大航を誘う