悪いキス

「…なんか、たい君が食べやすいもの作ろうか?…リゾットでも」

「そうだな、そっちのがいいよ」

わたしは投げ捨てられた茄子を持って考え事をしていた

リゾットの作り方を思い出すのと同時に気分を切り替えていたのだ

「包丁やピーラーはここにあるよ」

一倫はキッチンのシンクの引き出しを開けながら調理器具のある場所を教えた

わたしはピーラーを使わずに包丁で野菜の皮くらいむける

料理は得意な方だ

そうだ

さっき見た光景は見なかったことにしよう

そう思いながら料理に専念することにした


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