悪いキス

「琴美…琴美…琴美…」

熱でうなされてるのか息を絶え絶えにしながら私の名前をうわごとのように呼ぶ

しかし抱いているのはわたしではなくまい子だった

わたしが手を伸ばすと大航も手を伸ばして
手だけは繋がった

「ダメよ、大航。行かせないから」

わたしの頬には涙の滴が流れる

「たい君…好きだよ。死ぬほど愛すって約束したよね?わたしを愛で殺してくれるって言ったよね?」

「もういいだろ、琴美。大航は熱でしんどいんだよ。あとはまい子ちゃんにまかせ…」

「黙ってよ!大航はわたしを助けてくれたの。暗闇のなかから救ってくれたの」

わたしは大航の手を力いっぱい握りしめていた


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