悪いキス
ステージ付近は物凄いひとだかりである
少しステージから外れるとやっと人もまばらになった
一倫の後を追いかけているがひとだかりが少なくなる一方でトイレなんて見えてこない
ステージからも河川敷からもはずれた林の境内の前まで来るとわたしはついに一倫に尋ねた
「ねぇ、本当にこんなところでたい君を見かけたの?」
すると灯籠に隠れていたまい子が突然現れた
「ばかね、たい君なんかいるわけないじゃない」
「揺木谷さん……」
わたしの顔にいくつものスキンを投げると
「みんな出ておいで。好き勝手やっちゃって」
と、声を荒げた
闇に隠れていた素行の知らない男たちが
わたしのからだに興味深々な目つきで
近寄ってくる
「…何?一体、どういうこと?!」
わたしは何が起きてるのか分からない