悪いキス

両親と医師を呼ぶと簡単な検査をしてわたしは短期的な記憶喪失になっていると診断された

「琴美ちゃーん、おはよっ」

そう言ってやって来たのはモデル並にスタイル抜群、顔もハンサムな青年だった

「聞いたよ、ゆりえから。記憶喪失なんだって?僕のこと分かる?」

わたしはぽかんとしているとまた続ける

「俺、克典だよ。今の彼氏。思い出せないなら僕が思い出すの手伝うよ?」

「…ありがとう。わたしの中の記憶ではね、彼氏なんていないの。死にたいってずっと思ってたから、最後に見た花火だけは覚えてる。すっごく綺麗だったから。克典さんは観た?」

「あー、俺仕事だったから一緒に観れてないよ。他の友達なんかと観たんじゃないの?」

「……わたしに友達なんかいるわけないでしょ?馬鹿にするのもいい加減にして」

しばらく考える振りをして一枚のCDを持ち出した

「…じゃあ、これ聴けば思い出すかもよ?」


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