悪いキス

「たい君…」

「日射病になるぞ、病室に帰ろう」

わたしたちは一旦、病室に戻ることにした

病室に戻ると母とゆりえと克典が談話していた

「お母さん、わたしの記憶戻ったよ」

「本当に!?先生に知らせなくちゃ」

急いで母は出て行った

丁寧に皮がむけているうさぎの林檎たちをひとつ手にとって口に運ぶ

「わたし、たい君と歩いていて花火ばかり観ていたからよく周りを注意してなかったの。でも、誰かに押されて…だけどそんなことは黙ってるよ」

しゃりしゃり口のなかで林檎が音をたてる

まるで悲鳴のように

「ふたりが企てたことなんでしょ?」

「庇ってもらわなくてもいいよ、わたしがかずりんに持ち出したの。そしたら…」

「そしたら一回でいいからまい子を抱きたいって言ったんだ。それが条件で…」

「ふーん、わたしを強姦しようとしたのね?」

「「強姦!?」」

一倫とまい子以外はみんな声を揃えて驚いた


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