悪いキス

わたしの答えを聞くと渕上はさらに口元を弛めた

「脱げよ、…脱げ。今すぐここで脱げ」

「…え?………そんなの出来ない…」

脱げと言われて、はいそうですかとすんなり脱ぐわけにはいかない

両手で自分の身体を隠す

渕上はカメラを構える

「いいねー、その恥ずかしがりっぷり。プロのAVでもなれるんじゃね?あ、違った。…俺専用の、だ」

シャッターの音が虚しく鳴り響く

「やめてよ、撮るのやめて」

「男はね、こうやって女を束縛していたいんだよ。男のロマンってやつ」

渕上は体操服のTシャツをちらりとあげてみたりする

するとブラジャーが気持ちだけ覗くのだ

わたしは必死でそれを隠す


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