悪いキス
わたしはベッドに押し倒された
「………怖い」
怖いから止めて欲しかった
しかしわたしの力ではどうすることも出来ない
手首に激痛が走る
「…痛い、放して……」
そう言って放してもらえるわけはないけれど微かな望みを口にしてみただけだった
「手慣れてるくせに…処女ぶるなよ。ヘタにそそるじゃん」
わたしはもう恐怖を言葉に出来なかった
おおいかぶさってくる渕上を首を左右に振って抵抗する力しか残っていなかった
左右に首を振ると付けっぱなしだった左り手の薬指のリングに焦点が定まった
キラリと瞬いたように見えた