悪いキス

わたしはスカートが皺になるくらいきつく握りしめて大航の前に立った

一呼吸置く

「たいくん、おはよ…」

案の定、話かけたわたしには目もくれないでおしゃべりしている

「た·い·くん」

わたしはもう一度大きな声を出した

「うっせぇな、なんだよ?」

「たいくん、話があるの」

「たい君とかふつーにキモい。何?話って、ここじゃ話せないわけ?」

「……ごめんなさい…。わたし桑原くんがいないとダメみたい」

「昨日も言ったけど、お前は自己ちゅーなんだよ。その上、誰とでもちゅーするんだろ」

「…しない!そんなことしないよ。桑原くんが言う、殺すってこういうことだったの?…だったら指輪も返す」

外そうとした指輪が抜けない

「……ったく、しょうがない奴だな」

「……………………」

おしゃべりしていた生徒が笑いを吹き出すのもわたしは気にならなかった


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