白衣とエプロン 恋は診療時間外に
先生、昼休みにわざわざ買ってきてくれたのかな?

保坂先生はときどきこうして飴やラムネを差し入れてくれる。

助かっているというのは本当で、実際とても重宝していた。

のど飴は会計の窓口に置いておくと帰りがけの患者さんが喜んでくれるし。

ラムネは頑張った子どもへのご褒美として好評だ。

それに、先生は捻りがないなんて言ったけどそうでもない。

「あれ? このラムネ、変わった形をしていますね」

「新商品らしいです。おもしろそうなんで買ってみました」

「可愛いです。きっと喜ばれますよ」

保坂先生のこういうちょっとした気遣いを、とてもいいと思う。

ラムネだって、まだ飴が食べられない子への配慮だろうし。

子どものウケだけを狙って棒つきのキャンディを買ってきたりしないところも考えてるなぁと思う。

飴はスタッフルームにも置いてあって、乾燥する季節なんかは私もお世話になっている。

みんなにも「保坂先生からです」とちゃんと伝えて勧めているのだけど。

ばくばく食べるくせに反応は薄く、先生にお礼を言う人を見たことがない……。

そんな先生を、私はいつも歯がゆく思う。

だから肩入れしたくなる。

保坂先生は、もっと評価されていい人なのに。

もっともっと、フタッフにも患者さんにも評価されるべき人なのに、なのに――。
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