白衣とエプロン 恋は診療時間外に
「先生は、いつも損ばっかりしてる……」

「え?」

「あっっ」

脳内の思考がダダ漏れた……。

「いえっ、なんでもないっ――」

「僕が損を?」

誤魔化そうとしたけど、しっかり聞かれていた……。

私は完全に開き直った。

「だって、先生はもっと評価されていいはずなのに」

もう誰もいないのをいいことに、日ごろ感じているモヤモヤを吐きだした。

「手技が一番うまいのは保坂先生なのに。人気があるのは別の先生だし」

これ、一番納得がいかない。

「みんな飴ちゃん食べるくせに、ぜんぜん先生にお礼とか言わないし」

しかもときどき「たまにはチョコとか食べたいよねぇ」とか文句を言う輩まで!

だったら食うなっつうの!


「保坂先生は頑張ってるのに、ぜんぜん人気もなくて感謝もされてなくて――」

「僕、ひどい言われようですね……」

「ああっ、そんなつもりじゃっっ」


慌ててしどろもどろになる私を見て、保坂先生は――くすりと笑った。

あ、なんかいつもと感じが違う……?

先生がこんなふうに笑うところ、初めて見たかも。


「清水さんは変わってますね」

「えっ」

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