白衣とエプロン 恋は診療時間外に
私はとんだ思い違いをするところだった。

保坂先生のスイッチはいつだってちゃんとオンになっているのに。

患者さんに誰よりも細心の注意を払っているのは保坂先生だもの。

スタッフに対してだってそうだ。

私なんかに、こんなふうに声をかけてくださって。

すごく嬉しかった。

元気をもらって勇気づけられた。


「次の勤務は連休を明けてからの土曜日になりますが、よろしくお願いします」

「はい」


そっか、もうすぐゴールデンウィークだった。

少しも意識していなかった私って淋しすぎる……。

それよりなにより、保坂先生としばらく顔を合わせることがないと思うと――。

なんだかしょんぼりした気持ちになって目を伏せた。


「清水さん」

「はいっ」


はっとして顔を上げると、いつもの飄々とした保坂先生が見つめていた。


「冷蔵庫にプリンがあるのでどうぞ」

「えっ」

「コンビニで売ってる普通のプリンで申し訳ないが」

「そんなっ、私のほうこそ申し訳ないです」


飴ちゃんだっていただいたし(私個人へではないけど)。


「楽をさせてもらったお礼です」

「かえってすみません……」

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