白衣とエプロン 恋は診療時間外に
保坂先生って、器用なんだか不器用なんだかわからない。

そりゃあ、手先が器用というのは間違いないけど、そういうんじゃなくて……。

このプリンはきっと――。

仕事に対するご褒美だけでなく、今朝のことはもういいからという、先生なりのメッセージなのかなって。


「では、僕はお先に。お疲れ様でした」

「お疲れ様でしたっ」


保坂先生がくれたプリンは、お皿にプッチンとあけられる大きなプリンだった。

しかも、あまり売っているのを見たことがないイチゴ味!

それは、とっても甘くて、栄養満点の美味しさで。

口いっぱいに広がるどこか懐かしいその味は、元気が出る幸せの味だった。

まったくこれじゃあ、どっちが応援団かわからない。

嬉しいけど、悔しいような?

あったくて、ちょっぴりくすぐったいような不思議な気持ち。

今日はなんだか得したな、いろいろと……。

私はほんわかしながら、幸せの味がするプリンをまた一口、大事に美味しくいただいたのだった。







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