短編集『芸術家、ボコられる。』

優しさ入れときました。(1)

店員「お待たせしました。コーヒー優しさ入りです。」

斎藤「はい？今、なんて言いました？」

店員「優しさ」

斎藤「優しさ入りって言いました？」

店員「優しさ入りです」

斎藤「え、どこ」

店員「はい？」

斎藤「優しさ、どこ」

店員「優しさ、入れときました」

斎藤「どこよ、優しさ」

店員「ふわふわふわ～っ、と」

斎藤「え」

店員「ふわふわふわ～っ、と」

斎藤「ホイップ？」

店員「ふわふわふわ～っ、と」

斎藤「なに言ってんの」

店員「ごゆっくりお楽しみ下さい」

斎藤「いや、優しさどこ」

店員「おまじない、かけときました」

斎藤「え、どこよ優しさ」

店員「優しさ、これです」

斎藤「これ、フレッシュじゃん」

店員「これ、優しさです」

斎藤「これ、フレッシュじゃん」

店員「これです」

斎藤「これスプーンじゃん」

店員「ちょっとお手洗いで泣いてきていいですか」

斎藤「なんだよっ」




おわり