花の鎖・蝶の棘
悪い夢を見ているのかもしれない。
自分の限界の量のアルコールを摂取したせいか、酷く嫌な夢。
「どう考えても夷狄の格好、だな。」
「でもさぁ、何であんな場所で倒れてたんだろうね?」
「夷狄っつってもよ、顔立ちはオレたちとあまり変わらねぇぜ。」
男に連れてこられたのはさっき私が寝ていた部屋より幾分広い、此処もまた和室だった。
そして数人の男達に囲まれ、まるで動物園の動物よろしく見せ物になった気分だ。
「あ、あの……」
「へぇ。ちゃんと私達と同じ言葉が使えるみたいだね。」
私が口を開くと色黒の優男が目を輝かせながら笑っている。さっきから黙って聞いていると、どうも彼らの反応は珍しく変わった物を目の前にした時みたいだ。
それが異様な事に思えて、むず痒さを感じて仕方がない。
何かが変だ……
その何かが分からず、恐怖心となって私を支配していく。
「こ、此処は一体……」
ようやく絞り出せた言葉はそれだけだった。