愛を教えてくれたのは若頭




「茜?」



鞄のチャックを閉めながら
歩いていると後ろから声をかけられた


『よっちゃん、』


前に会った時と変わらない
優しい顔のよっちゃん


『ごめん、鍵持ったままだったからポストにいれた。じゃあね』


行こうとするが、さっきまで離れていたはずのよっちゃんが近くにいて
腕を掴まれていた


「話がしたい。ちゃんと…」


よっちゃん、弱ってる
久しぶりに会ったせいか
そう聞こえる、よっちゃんの声
そんな声でそんな事を言われたは
断るなんて出来ない


少しだけなら、と
よっちゃんに向けた


これが最後になるとしても
よっちゃんの部屋に入れば
何が起こるなんてわかっている

これは晃さんを裏切る行為になるだろう
裏切る、という言葉に足が止まる

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